囲碁随想(第7回)「碁打ちの心理」

 この度、遠山副会長より東京都の白須OBの執筆内容の掲載依頼がありましたので掲載させていただきます。

「碁打ちの心理」
白須寛雄(日本棋院アマ五段、昭和29年文卒)
投稿日:2014年2月6日

 光陰矢の如し、関西学院の門をくぐってはや60年、時計台の前の芝生に寝転がって友と語り合った頃が懐かしく思いだされます。最近では月2回関学東京キャンパスのランバス・ホールで行われる同窓会囲碁サークルの例会が楽しみです。
 碁に親しんで約40年、八十路を超えても気分だけは若く、碁仇を見つけては打つようにしています。碁は木と石、黒と白、方と円による簡明なゲームですが、盤上の世界はまさに千変万化で不思議な魅力が隠されています。碁は配石により弱い人も強い人も、亦老若男女を問わず誰でも楽しむことができます。およそ勝負事においては、心理的な影響を受けないものはありません。勝つ喜び、負けた悔しさ、得意、がっかり、尊敬したり、なめたり、あせったり、ポカしたり、対面する相手との間でさまざまな感情を経験します。
 最近では、小学校の教科書の中に囲碁を取り入れ、礼儀を重んじたり、集中力を高めようとする動きがあり、囲碁ファンとしては大いに評価し喜んでいます。毎年テレビで紹介されるサラリーマン川柳も面白いが囲碁も昔の江戸川柳に心理的描写が実に巧みな作品が多いので5句ばかり取り上げてみました。

   碁(ご)仇(がたき)は憎さもにくしなつかしき

   先ず碁笥(ごけ)を引っ張りあふも礼儀也

   持(じ)碁(ご)打て互にさがすひざの下

   碁の客はたいがいにして女房寝る

   月代(さかやき)にかゆみがくると負けになり

 同窓会の囲碁サークルでは、初代室井、二代武林、三代菊池と名幹事による毎年1回の温泉旅行合宿があり、仲間皆和気あいあいとして実に楽しい。益々の発展を祈るや切。

 打ち上げは「空の翼」で〆くくり 月洲